峰守備忘目録《ミネモリビボウモクロク》

小説家・峰守ひろかずが、自著リストや短編小説を公開しているブログです。

絶対城先輩の妖怪学講座

「文学部四号館四階四十四番資料室。俺はいつでもそこにいる」

 黒の羽織に白のワイシャツ、黒のネクタイという出で立ちの青年・絶対城阿頼耶(ぜったいじょうあらや)が、合気道をたしなむ後輩女子・湯ノ山礼音や、気さくで手先が器用な元演劇部の杵松明人(きねまつあきと)らを従えて妖怪の伝承の謎を暴いたり事件を解決したりする、連作SF伝奇ミステリー。オカルトに極力頼らず怪異の存在を説明してみよう、というところから始まったシリーズです。

 装画・口絵は水口十様。メディアワークス文庫より刊行されており、2019年12月に出た十二巻で完結しました。

 また、炬太郎様による漫画版が月刊B’s‐LOG COMICで連載されており、全2巻で完結済みです。いずれも電子書籍版も出ております。 

 

絶対城先輩の妖怪学講座 (メディアワークス文庫)
 

 各巻については以下をご覧ください。各巻タイトルからメディアワークス文庫公式サイトの該当ページに飛べます(リンク先から購入・試し読みも可能です)。

  大学に入ったばかりの湯ノ山礼音は、原因不明の頭痛を治すため文学部資料室に住み着く青年・絶対城阿頼耶を訪ねる。妖怪学徒を自称する絶対城は学内の怪奇事件を(時にインチキで)解決しつつ、妖怪伝承成立の謎を追っていた。礼音はなし崩し的に絶対城に協力することになるのだが。

 第一巻です。べとべとさん、幽霊、付喪神、馬鬼、ぬらりひょん、覚(さとり)などの話が入っています。

 

  大学での初めての夏休みを満喫しようとする礼音だったが、怪しい事件はなお続く。消えた美人教授を追って絶対城と礼音が訪れた海辺の村には、門外不出の儀式が今なお残っていた。世界最古の幻獣「竜」の正体とは何か。見越し、船幽霊、夜行さん、大百足、大蛇、いくちなどの話が入った第二巻です。海の怪異の話が多いです。

 

  突如現れた絶対城の師・クラウス教授は絶対城に妖怪学から身を引くように告げ、不思議な力で礼音をも叩きのめしてしまう。心を折られた妖怪学徒は再起できるのか。クラウスの使う「天狗」の力の正体とは? メインは天狗ですが、その他にも山姥、鵺、鎌鼬、わいらなどの話が入った第三巻です。

 

  大学近辺で流行し始めた怪しげな新興宗教団体。「憑きもの」を操る謎めいた教祖は、かつて絶対城の唯一の親友・杵松と関りがあったようなのだが。疑心暗鬼の渦中で、礼音は妖怪学徒の過去を垣間見る。カタルシスとアクション重視の第四巻です。憑きものの話を中心に、ナメラ筋、一つ目小僧、泥田坊、ガイラゴなどの話が入っています。

 

  絶対城に連れられて訪ねた美しい茶人の庵の傍で、礼音は奇妙な少年に出会った。おりしも「河童」伝説の残る淵の開発計画が持ち上がる。川の開発を強引に進める女性議員の目的とは果たして何か? 絶対城の過去と河童伝承の真相が明らかになる第五巻。河童、目々連、雪女、多邇具久(たにぐく)、ひょうすべなどの話が入っています。

 

  覚悟を決めた絶対城は、妖怪学最大の禁忌「鬼」に挑むことを決意する。口を封じようと迫る魔の手を潜り抜け、酒呑童子伝説の裏に隠された陰惨な秘密を愛の力で暴き出せ! 第一シーズン完結編でもある第六巻。各章のネタは全部「鬼」縛りとなっており、方相氏、清姫、牛鬼、酒呑童子などの話が入っています。

 

  絶対城らが訪れた廃村には、幸福を招く妖怪「座敷わらし」が出たという話が残っていた。おりしも大学では素性不明のドラッグが流行し始める。座敷わらしがもたらす幸せとは果たして何か。村が消えた理由とは? 座敷わらしを中心に、破多破多(ばたばた)、ノタバリコ、釣瓶下しなどの話が入った第七巻です。一応この巻から学年が上がって第二部です。 

 

  国造りの巨人「ダイダラボッチ」の伝説が残る小さな火山島を調査のために訪れる絶対城。大学に残された礼音は、持ち込まれる怪奇事件に独力で挑むことになる。八巻です。メインはダイダラボッチで、その他には大入道、二口女、こそこそ岩、神隠し、ツチノコなどの話が入っています。

 

絶対城先輩の妖怪学講座 九 (メディアワークス文庫)

絶対城先輩の妖怪学講座 九 (メディアワークス文庫)

 

  狐憑き事件をきっかけに、絶対城らは「狐」を名乗る怪人との対決を強いられる。人を騙し、欺く術の追及に全てを賭ける怪人との勝負の果てに「なぜ狐は化かすのか」の答えが見えてくる。いろいろ極まる第九巻。メインテーマは狐(とイヌ科の動物)で、狐憑き、小女郎狐、狸囃子、送り狼、髪剃り狐、宝珠の玉などの話が入っています。

 

絶対城先輩の妖怪学講座 十 (メディアワークス文庫)

絶対城先輩の妖怪学講座 十 (メディアワークス文庫)

 

  夏休み、礼音はバイトのために山間の牧場を訪れた。風光明媚なその地で、礼音は人面の奇妙なものを見てしまう。予言をもたらす人面の獣、通称「予言獣」と、その代表である「件(くだん)」の正体に迫る第十巻。クタベ、神社姫、件(くだん)、磯女、アマビコなどの話が入っています。

 

絶対城先輩の妖怪学講座 十一 (メディアワークス文庫)

絶対城先輩の妖怪学講座 十一 (メディアワークス文庫)

 

 知識を司る古代中国の聖獣「白澤」。すべての事件の陰に見え隠れしていたその存在がついに絶対城に牙を剥く。誰も信用できない逆境に、人脈と知識と愛とで立ち向かい、聖獣の正体を暴き出せ! 七巻から続いていた「白澤編」の完結巻であり、第二シーズンクライマックスな第十一巻です。袖引き小僧、賢淵(かしこぶち)、彭候(ほうこう)、一本ダタラ、白澤(はくたく)、スイトンなどの話が入っています。

 

絶対城先輩の妖怪学講座 十二 (メディアワークス文庫)

絶対城先輩の妖怪学講座 十二 (メディアワークス文庫)

 

  猫はなぜ怪しいものとされてきたのか。そして苦悩する絶対城や礼音の選ぶ道とは。年度末のキャンパスを舞台に、若者達の選択と決断と成長(+化け猫伝承の真相)を描くシリーズ最終巻です。火車(かしゃ)、五徳猫、猫ばば、猫また、猫の王などの話が入っています。

 

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漫画版「絶対城先輩の妖怪学講座」

 炬太郎様作の漫画版です。B’s‐LOG COMICで連載されていました。原作1巻の内容を全2巻にまとめていただきました。 

絶対城先輩の妖怪学講座 1 (B's-LOG COMICS)

絶対城先輩の妖怪学講座 1 (B's-LOG COMICS)

 

 

絶対城先輩の妖怪学講座2 (B's-LOG COMICS)

絶対城先輩の妖怪学講座2 (B's-LOG COMICS)

 

 

B's-LOG COMICSの紹介ページです。試し読みもできます

 

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外伝・未収録短編など

  • 「絶対城先輩の妖怪学講座 補講 青鷺火(あおさぎのひ)」

 メディアワークス文庫公式サイト用の書き下ろし短編です。以前はメディアワークス文庫公式サイトの書き下ろし小説コーナーで読めたのですが、サイトリニューアルにより読めなくなってしまいました。

 

  • 「鍛冶屋の婆」

電撃文庫MAGAZINE 電子限定版Vol.1」に収録された短編です。2014年春に配信されました(現在は配信は終了しています)。

 

  • 「ナベオロシ」

 漫画版1巻のアニメイト様の特典として書き下ろした掌編です。

 

  • 「天狐」

 文庫6巻のアニメイト様の特典の1pコミックです。(峰守は原作を担当しました)

 

  • 「塗り壁」

漫画版2巻のアニメイト様の特典として書き下ろした掌編です。

 

  • 「木霊」

漫画版2巻のアニメイト様の特典の1pコミックです。(峰守は原作を担当しました)

 

 メディアワークス文庫と富士見L文庫のコラボ企画として「カクヨム」用に書き下ろした特別編です。