院政が常態化して朝廷の権威がどんどん失われ、平安時代がいよいよ終わりかけている12世紀初頭。酒吞童子退治の英雄の子孫ながら気弱で和歌好きの青年・源頼政(みなもとのよりまさ)は、関白直々に、治安維持のため宇治へ出向するよう命じられる。
一昔前までは閑静な静養地だった宇治は今や、荘園や私領が乱立し、怪しい連中が跋扈する治外法権空間と化していた。そんな土地で頼政が出会ったのは、安倍家嫡流でありながら、晴明や陰陽道の神格化に猛反対し、平等院の経蔵に籠っているクールな天才少年陰陽師・安倍泰親(あべのやすちか)であった。
英雄の五代目同士共感しあった頼政と泰親はひとまず最初の事件を解決するが、怪しい事件は次から次へと起こる。堂々と絡んでくる怪しい外術師、暗躍する謎の集団。さらに平等院の宝蔵には平安朝が絶対に隠したい秘密があるようで……。
人魚、橋姫、鵺、龍、妖狐、鬼の王などなどの平安朝を悩ませる怪異たちに、先祖の高名に苦慮する若者コンビが挑む平安末期バディ伝奇ミステリー。2022年3月に第1巻「五代目晴明と五代目頼光、宇治にて怪事変事に挑むこと」、2023年1月に第2巻「五代目晴明と五代目頼光、百鬼夜行に挑むこと」が発売されました。
(1巻発売にあわせて書いた紹介記事です→「今昔ばけもの奇譚 五代目晴明と五代目頼光、宇治にて怪事変事に挑むこと」発売記念セルフインタビュー|峰守ひろかず|note)
平安時代末期の12世紀初頭。物語と和歌を愛する心優しい武士・源頼政は、安倍晴明五代目ながら迷信を嫌う少年陰陽師・阿部泰親と宇治で再会を果たす。
冷遇されがちな頼政と違い、京都でメキメキ名を挙げている泰親は、ある少年に取り憑いた「もののけ」を祓うために宇治に再来したのだ。
友人との再会を喜ぶ頼政は、泰親に同行した女官・菖蒲(あやめ)から、源氏物語の幻の章「雲隠」の噂を聞く。光源氏の最期を描いたその章は、あまりの内容の悲痛さに読んだ者が全員出家してしまったので、危険視され、宇治の宝蔵に封印されたのだという。非現実的な噂だと訝る頼政だったが、それを嘲笑うように怪異な事件が続発し、英雄の五代目コンビは再びその解明に追われることになる……。
もののけ、清姫、付喪神、神、天狗、封印された源氏物語などの謎を追う第二巻です。
(P[み]6−6)今昔ばけもの奇譚 五代目晴明と五代目頼光、百鬼夜行に挑むこと