セクハラ大御所作家をうっかり殴ってしまって編集者人生が危うくなっていた滝川詠見(たきがわえみ)は、ベテラン人情派作家・六道琮馬(ろくどうそうま)の担当を命じられる。挨拶に出向く詠見だが、老人だと思っていた六道は、どう見ても二十歳前後の若者であり、しかも人間ではなく、物ノ気(もののけ)を食らう妖怪であった。
だが相手がなんであれ原稿を取らねば明日はない。かくして詠見は琮馬のところへ通い詰めることになる。それは即ち、西新宿や池袋、神田や品川など、東京各所に根付いた怪談と向き合うことでもあった。
人はなぜ怪談を語り物語を紡ぐのか。紡がれた物語の存在意義とは。六道の隠す秘密とは。彼が作家の道を選んだ理由は何か。そして詠見は六道から原稿を取れるのか!
後がない編集女子×遅筆妖怪作家+東京怪談でお送りする、現代怪異お仕事小説です。表紙イラストは榊空也様。富士見L文庫より全三巻が発売中です(2018年7月現在)。
二巻です。六道先生がうっかり小さな文学賞を取ってしまったおかげで、人気若手作家がちょっかいを掛けてきてさあ大変、みたいな話です。古典怪談の他、都市伝説から生まれた現代的な怪異も出てきます。
完結編となる三巻です。自伝小説を書くことになった六道先生がデビュー以来のことを思い返してみると、自分の記憶が不確かなことに気付いてしまい、一方、詠見も編集業を続けるか悩むことになり……といった話です。
メディアワークス文庫と富士見L文庫のコラボ企画として「カクヨム」用に書き下ろした特別編です。