明治21年、古都・金沢で働く実直な人力車夫・義信(よしのぶ)は、仕事で必要な英語を学ぶために私塾「井波塾」を訪れ、塾の寄宿生でありながら雇われ英語講師でもある少年・泉鏡太郎(いずみきょうたろう)と出会う。
思いのほか高い受講料に尻込みする義信に、鏡太郎は「怪異の噂を教えてくれば支払いを待つ」「本物の怪異に遭遇できたら受講料は免除する」と提案する。鏡太郎は「おばけずき」と呼ばれる怪異愛好家であったのだ。
かくして義信は、街中で怪しい噂を聞き集め、鏡太郎とともにその真相を調べに奔走することになる。立入禁止の化物屋敷、人を獣に変える妖女、生贄を求める古き竜神、金沢城跡に現れる幽霊、羽を生やして空を飛ぶ女……。
後に幻想文学の大家・泉鏡花となる少年は、郷里で過ごした少年時代に後の代表作を思わせる事件と巡り合っていたのでは?という趣向で描く、金沢のご当地伝承多めの明治伝奇連作ミステリー。装画は榊空也さまです。
2023年8月3日に第1巻、2024年3月5日に第2巻「城下のあやかし」が発売されました。
第1巻です。「草迷宮」「高野聖」「夜叉ケ池」「天守物語」「化鳥」の五編を収録しています。
第2巻です。「海神別荘」「茸の舞姫」「貝の穴に河童の居る事」「竜潭譚」「朱日記」の五編を収録しています。
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↓1巻発売前に自分で書いた登場人物紹介記事です。
新刊「少年泉鏡花の明治奇談録」登場人物紹介の巻 - 峰守雑記帳
↓ 本書(1巻)刊行に際して受けたインタビュー・紹介記事です。