峰守備忘目録《ミネモリビボウモクロク》

小説家・峰守ひろかずが、自著リストや短編小説を公開しているブログです。

◆短編小説◆金沢古妖具屋くらがり堂外伝 内灘にて

※以下は、「金沢古妖具屋くらがり堂 夏きにけらし」(2021年7月刊行)発売時に一部店舗で頒布された特典ペーパー用に書き下ろした短編であり、ポプラ文庫ピュアフル庫編集部の許可を得て掲載しています。なお、ブログでの公開に際し、一部を修正しています。

続きを読む

金沢古妖具屋くらがり堂

 金沢に引っ越してきた高校一年生の汀一(ていいち)は、店先の商品を壊してしまったことをきっかけに古道具屋「くらがり堂」でバイトをすることになるが、そこは妖怪の道具「妖具」を扱う店であり、住み込みの従業員もみな妖怪だった。同い年のクールな妖怪の少年・時雨(しぐれ)とともに働く中で、汀一は様々な妖怪や妖具の事情を知り、時雨との友情を深めていく。だが時雨は妖怪としての自分のアイデンティティに悩んでおり、汀一は汀一で人間なりの苦労が色々あって……。

 古都の茶屋町の古道具屋を舞台に、浅はかだけど気の良い人間の少年&自他に厳しく堅物な妖怪の少年のコンビが気が合わないなりに仲良く頑張る北陸放課後バディストーリー。カバーイラストは烏羽雨様です。第2巻「冬来たりなば」、第3巻「夏きにけらし」と続いており、2022年7月に出た第4巻「巡る季節」でひとまず完結しています。

金沢古妖具屋くらがり堂 (ポプラ文庫ピュアフル)

金沢古妖具屋くらがり堂 (ポプラ文庫ピュアフル)

 
続きを読む

妖怪大戦争ガーディアンズ外伝 平安百鬼譚

 現代。古代の化石が結集して誕生した「妖怪獣」が人知れず目覚め、それに気付いた妖怪たちは、平安時代に妖怪退治で名を馳せた武将・渡辺綱(わたなべのつな)の子孫たる小学生・渡辺ケイを探し出し、妖怪獣を止める使命を与えた。かくして、ここにケイの冒険が始まるのだが、その千年ほど前のこと。

 十世紀末のある夜、山野を移動しながら生きる非定住民「山の民」の少女・トキは、突然現れた狂暴な妖怪によって家族や仲間を失うも駆け付けた若武者・渡辺綱によって命を救われる。トキが妖気を感知する力を持っていることを知った綱は、京都での妖怪退治に力を貸してほしいと頼みこむ。

 かくしてトキは頼光四天王が一人・坂田金時(さかたのきんとき)の名を与えられ、渡辺綱、年若くヤンチャな碓井貞光(うすいさだみつ)、年上で雅やかな卜部季武(うらべのすえたけ)らとともに、京都で妖怪退治にいそしむことになるのであった。

 人を騙す雄弁な獣、巨躯の怪物、捨てられた古き神……。次々と現れる、平安京にいるはずのない妖怪たち。その背後で暗躍する何者かの気配を察知しながら、綱やトキは日夜妖怪たちと戦うが……。

 真面目で堅物な若武者・渡辺綱、山育ちの元気な男装少女、そしてその仲間たちの活躍を描いた、2021年8月公開映画「妖怪大戦争ガーディアンズ外伝」の公式スピンオフです。2021年6月25日に発売されました。

学芸員・西紋寺唱真の呪術蒐集録

 学芸員。それは博物館や美術館で資料収集・調査研究・解説などに従事する専門職員のことである。
 美術館の学芸員を志望する学生・宇河琴美(うがわことみ)は、大学三年の夏休み、色々あって北鎌倉の小さな博物館「北鎌倉アンティーミュージアム」で博物館実習を受けることになった。
 資格取得のためにやる気を燃やす琴美だったが、その館の学芸員、人呼んで「北鎌倉博物館界のプリンス」こと西紋寺唱真(さいもんじしょうま)は、外面の良さとは裏腹に、呪術の実証と怪しい資料の収集に取り憑かれた変人であった。「まず私を呪ってみなさい」と藁人形を渡してくる唱真に琴美は困惑する。
 丑の刻参りが定着した理由、家族を呪って逝った老婆が残した人形の秘密、鬼の髑髏の祟りの真相、そして現代になお生きる本物の呪術者……。唱真とともに様々な事例に相対する中で、琴美は呪術の奥深さを、そして博物館と学芸員の果たす役割を知っていくことになるのであった。
 眉目秀麗で博聞強記で慇懃無礼、夢は自分の体で呪いを受けること! という美形で優秀で奇矯な学芸員が、不運な実習生とともに北鎌倉の博物館で「呪い」と「まじない」の真実に挑む伝奇ミステリー連作。表紙イラストはカズアキ様です。 2021年3月25日現在で2巻まで発売中です。

続きを読む

うぐいす浄土逗留記

 民話や伝承を好む気の小さい大学生・伊緒(いお)は、二十歳の誕生日の日、気が付くと見知らぬ村の入り口に立っていた。深い山に囲まれ、小さくて寂れたその里は、現世に居場所を失った精霊や神や妖怪たちがひっそり暮らす異郷──「隠れ里」であったそうな。
 白蛇の化身である優しい若者・七郎(しちろう)に迎え入れられた伊緒は、やむを得ず里の宿屋で暮らしながら、元の世界に帰る方法とこの里に招かれた理由を探していくことになるのじゃったが、里の回りには妖怪がうようよしているし、里の住人は非協力的だし、色々大変で……。
 
 気弱で昔話好きの女子学生と温和な白蛇の若者、そして現世に居場所をなくしたものたちが織りなすノスタルジックな恩返しの物語。カバーイラストは空梅雨様です。 

うぐいす浄土逗留記 (富士見L文庫)

うぐいす浄土逗留記 (富士見L文庫)

 

新宿もののけ図書館利用案内

 求職中の気弱な非正規司書・末花詞織(すえはなしおり)が見つけた求人は、新宿の住宅街の奥に存在する妖怪専用図書館「本姫図書館」のものだった。

 開館時間は午後十時から午前五時まで、本を返す時は必ず別の本を一冊添えること。奇妙なルールのあるこの館を訪れるのは、幽霊や妖怪など人間ではない利用者ばかり。驚いて辞退しようとする詞織を、若き館長代理・牛込山伏町(うしごめやまぶしちょう)カイルは熱心に引き留める。館長代理を押し付けられてしまったカイルは図書館を運営していくためのノウハウを全く持っていなかったのだ。

 カイルの懇願に押し負けてしまった詞織は、本姫図書館で働くことになる。熱意も使命感もあるが知識が足りない新米の館長代理と、それなりに経験はあるが怖がりで押しにも弱い司書。見るからに危うい二人三脚による危なっかしい図書館運営が始まった!

 新宿にひっそり佇む妖怪専用図書館にて、気弱な司書(人間)と真面目な若き館長代理(妖怪)コンビが頑張る現代東京ハートフル妖怪お仕事小説。表紙イラストはLaruha様です。 2020年2月10日現在で2巻まで発売中です。

新宿もののけ図書館利用案内 (メゾン文庫)

新宿もののけ図書館利用案内 (メゾン文庫)

 
続きを読む

絶対城先輩の妖怪学講座

「文学部四号館四階四十四番資料室。俺はいつでもそこにいる」

 黒の羽織に白のワイシャツ、黒のネクタイという出で立ちの青年・絶対城阿頼耶(ぜったいじょうあらや)が、合気道をたしなむ後輩女子・湯ノ山礼音や、気さくで手先が器用な元演劇部の杵松明人(きねまつあきと)らを従えて妖怪の伝承の謎を暴いたり事件を解決したりする、連作SF伝奇ミステリー。オカルトに極力頼らず怪異の存在を説明してみよう、というところから始まったシリーズです。

 装画・口絵は水口十様。メディアワークス文庫より刊行されており、2019年12月に出た十二巻で完結しました。

 また、炬太郎様による漫画版が月刊B’s‐LOG COMICで連載されており、全2巻で完結済みです。いずれも電子書籍版も出ております。 

 

絶対城先輩の妖怪学講座 (メディアワークス文庫)
 

 各巻については以下をご覧ください。各巻タイトルからメディアワークス文庫公式サイトの該当ページに飛べます(リンク先から購入・試し読みも可能です)。

続きを読む